小平の家
大きな土間を居室の前に配し、外部環境を柔らかく建物内部へ取り込むことを意図しています。玄関という既存の概念を取り除き、どこからでも外部へ接することの出来る住まいとなっています。これは、もちろん施主の生活の特性を考慮した上で導かれた形です。内部は、引き戸によって間仕切ることが出来るようになっていますが、引き戸を、建具ではなく、移動する壁と認識し、空間を締めたり、緩めたりすることが出来るようにすることで、季節に応じて各々にふさわしい器のあり方を表現できるようにしています。内部で使われた素材は、決して高価なものや主張の強いものではありません。自然素材や、存在そのものをむしろ消し去ってしまう、いわば「そっと触れたくなる」様なものを使うようにしています。
内玄関から見た土間と居間方向。踏み台と手摺を設けて、さりげなく靴を脱ぐ行為を導いています。
土間と居間の関係。隠し框の木製建具で外部環境との融和をより親密に図っています。中央には換気用の小窓を設けました。
土間の見返し。奥の内玄関を開けると、外部の洗い場があります。手前のスリットのある建具がいわゆる玄関となります。土間を通り、外部へ出られる場所は3箇所あり、それぞれに緩やかに機能が付加されています。
引き込みの障子によって、少し日本的な情緒を表現しています。和紙に映る木漏れ日や木陰が様々な表情を室内に表してくれます。
障子を引き込んだところ。
緑が内部にじわりと入り込んできます。ここも、隠し框の木製建具にすることで、アルミサッシでは決して得られない外部との一体感を確保しています。
2階書斎。蔵書の数が半端ではなく、その収納に苦労しました。勾配天井になっていて、右上の板貼の天井の上部にはロフトがあり、はしごを使って登ることが出来ます。
階段室から書斎と、寝室の入り口を臨む。
廊下は極力少なくし、書斎にその役目を兼ねてもらいました。
階段室。
単なる上下の移動空間ではなく、何か、一工夫したいところで、いつも悩みの種となります。
ちょっとした飾りの台を設け、お気に入りの置物を置いてもらいました。
建物データ
所在地 |
東京都小平市 |
用途 |
専用住宅 |
構造 |
木造 |
建築面積 |
82.35㎡ |
延床面積 |
136.61㎡ |
竣工 |
2009年7月 |
設計者 |
直井建築設計室 |
施工 |
(有)睦建設 |
おすすめ情報
工種 |
使用部位・おすすめ理由など |
名称・品名等 |
会社名 |
内装工事 |
床材全般 |
床暖用無垢フローリング |
(株)モリバヤシ |