リノベーション東難波5
”もったいない―。”
計画前に初めてこの物件に案内してもらった時の偽らざる第一印象です。オーナーのご家族が以前経営されていた酒店店舗兼住居だったものが、先日まで商品在庫がまばらに置かれる倉庫となっていました。狭小住宅が建て込んでいるこの地区一帯のなかでこの建物はファサードが比較的太い道路側に南面して採光はバツグン、しかも角地にあるという何ものにも代えがたい長所があるにも関わらずそれを活かすことなく静かに佇んでいたのです。
オーナーの「もう一度この建物を蘇らせたい。」という思いに応えるため賃貸住宅へのリノベーションを提案しました。築40年ほどの時間を経て構造部材に歪みも見られ、耐震性の強化も必要との判断から耐震補強工事も施しています。
一戸建ての住宅としては延べ床面積の小さい物件です。しかし改修箇所を吟味し、設計の手法を駆使することで実面積以上の空間の広がりを演出し、この家の住宅としての可能性を最大限に引き出しています。結果コストパフォーマンスの良い”強くて優しい”上質な空間に生まれ変わらせることができました。