羽根木の家(光庭のある3世帯住宅)
世田谷区内の住宅地に、築後70年の住まいを取り壊し、ご両親世帯とお子様世帯が2世帯、計3世帯が暮らすための住まいに建て替えたものです。
それぞれの世帯の異なる立場や意見をとりまとめ、予算と要求事項とのバランスをとった設計をすると共に、しっかりと工事の監理をしてくれる設計者を探しておられた方から依頼を受けたものです。
巾2.8mに満たない袋小路の突き当たりの約115坪の旗竿状の敷地に、90坪(30坪×3世帯)の家を造る計画としてスタートしました。
各世帯のご要望事項はさまざまですが、共通するのは
「3世帯が程良い距離感を持ちながら、お互いが安心して暮らせるように」
ということです。
これらを早い段階で具体化し、方向づけることが多世帯が共に住まう家の
設計におけるポイントと考えています。
この住宅では完全分離型3世帯住宅としながらも、光庭やL字型の建物形状等により、各世帯の気配が適度に伝わる家としたものです。
3世帯それぞれの玄関は、互いを近い位置に配置しました。
正面に親世帯の玄関(引違い戸)、右手に子世帯の玄関を並べて設けています。
玄関の戸はいずれもタモ材の無垢板で造りました。
親世帯の玄関内部。
親世帯は特に持ち物が多いこともあり、廊下の片側(右手)は天井までの壁面収納としています。
親世帯の玄関より建物の中央に設けた光庭を望む。
光庭は2層分にわたって各世帯の明るさを確保する為のものですので、壁面だけでなく床面も輝度の高い場所とすべく、白玉砂利を全面に敷きつめています。
光庭の1階部分に面した親世帯のダイニング。
南の庭からは居間を挟んで奥まった位置にあるダイニングですが、この光庭により明るい場所とすることができています。
光庭を見上げた写真です。
この光庭を介して各世帯の気配が感じることができるようにすることで、
同じ敷地内に住む各世帯が安心して暮らすことができるように意図したものです。
親世帯の居間(たたみの間)、右手は寝室です。
長年住み続けた間取りをあまり変えたくないというご要望があり、仕上げは変えたものの、敷地内の位置を含めて以前の家の住まいに近いものとした部分です。
子世帯1のリビングダイニング、南面を望む。
手前が配膳カウンター。
右手は下階につながるこの建物の中央に設けた光庭です。
南側(写真奥)のリビングから奥まった位置のダイニングですが、この光庭により朝日が差し込む明るいダイニングです。
子世帯1のダイニングより光庭を望む。
左手はトイレ、洗面室、浴室等の水回りへの廊下です。
子世帯2のリビングダイニング。
左手がキッチン、右手は南庭です。
建物データ
所在地 |
東京都世田谷区羽根木 |
用途 |
3世帯住宅 |
構造 |
木造(在来軸組) |
建築面積 |
161.1㎡ |
延床面積 |
314.2㎡ |
竣工 |
|
設計者 |
中川龍吾/中川龍吾建築設計事務所 |
施工 |
依田工務店 |