十月桜の家
敷地の周りには住宅が密集している。その上、西側の駐車場にはいずれ建物が建つであろうこと、北隣が新聞販売店であり、早朝から営業される事などを考え、中庭を設け、敷地全体を壁で囲み、外部に対しては閉じる事にした。ただし、東側の細い里道に圧迫感を与える事は避けたかった。そのために出来る限り高さを抑え、中庭のシンボルツリー“十月桜”は道行く人も楽しめるようにした。
居住空間は中庭に向けて大きな開口部を設け、中庭、及びその上部を内部空間の延長として感じられるように工夫した。また、衣類は水まわりのそばの納戸に収納するようにし、着替え、洗濯、収納の動線を短くした。
更に「シンプルな家にしたい」というクライアントの希望やコスト面の問題もあったために、扉を極力設けないことにした。結果的にはそれによって風通しの良い、ミニマルな空間に仕上ることができた。