田方の家
オーナーは新婚の御夫妻で、敷地は後が御両親の敷地となっており、崖地で私道(巾2.15m)より1m下がっている。又下の敷地迄5mの高低差があり、法的には道路法による道路幅員はありません。さらに急傾斜危険区域、宅地造成規制区域のおまけ付だったので、この土地は長い間、手がつけられず荒地のままでした。息子さんから家を建てるという相談を受けた設計者は、限られた予算の中で、法的にここに建築可能か否かを検討し、造成せず、ベタ基礎に鋼管杭(29本)を打ち込んで建物の安定化を築きあげる方法に至りました。それを確認後、土地購入が決まり、本格的な設計に入った訳です。方位は、山の北斜面にあり、良くありません。又開放されている前面バイパス側の家並みが本住宅方向に向いていますので、プライバシ確保に難があります。その解決法として、東側、南側からの日照を得るために天窓、及び天井近くに欄間を取る事によりプライバシー・自然との対話を確保しています。崖地の斜面は保護モルタル(厚70)とその上部黒い部分が植生基材吹付工法(角度30°)で保護し、安全が確保されています。
多目的室(居間)
広い吹抜空間で、周辺からは閉鎖的になっていますが、天窓や欄間からの陽射しが壁や床に時間と共に移り変り、静と動が混在し、とても落ち着ける空間となっています。一番奥(北側)に和室、西側は防音された音楽室になっており、当初要望されたどこにいても気配を感じられる配置となっています。